■2005.6.25@代々木第二体育館■


■一次リーグも佳境を迎え、いよいよ上位直接対決がはじまるこの日。梅雨の中休みということで、朝から暑い。原宿駅に降り立つと、女子バレーの代表の試合があるんだそうでダフ屋のおにいさんが一杯。暑いのにご苦労様と思いつつ、第二体育館へ。男子の第4試合も1Q途中から観る。日本無線の鈴木、東京日産の矢治がいいな、と思っているうちに、いよいよ試合開始だ

第一試合 三井住友-*丸紅

 

■1Q序盤、まず三井住友が連続得点で畳み掛ける。渡邊(芳)×2、藤塚カットイン→鈴木のミドルで7:06には6-0。対する丸紅は6:20にようやく覚醒。*横山が正面からストップジャンプシュートを決めると、*椎木が続く。さらに5分台には、厳しいDEFから相手パスを2回連続カット。*横山の左60度遠め3pt、DEFに競り勝った*椎木の得点につながり、5:21には6-9と一気に攻めまくる。5分を切っても圧倒的な丸紅ペース。三井住友にまったく得点を許さない一方、渡邊(舞)のジャンプシュートが決まると、今度は外の*関口→内の*堀江→正面外の*関口の3ptという流麗なな攻撃が決まる。2分を切り、関口はさらに、ゴール下で渡辺(芳)につかれながらも負けずに反転してのシュートで連続得点。1:52には6-16と丸紅が10点離す。三井住友は1:11、益田のFTでようやく2点返すが、0:07、丸紅*大城の左0度3ptでさらに差が開き、8-19で終了。丸紅はDEFが固く、三井住友がフリーでシュートを打つシーンが非常に少ない感じだ。

■2Q開始早々、三井住友は水谷(FT)、岡野で11-19と差をつめる。丸紅はDEFの戻りが早く、三井住友PG藤塚の早め長めのフィードが見られない一方、三井住友のDEFも厳しくなってくる。そんななか7:14、パスカットから*椎木、6:51にはルーズボールの奪い合いから岡野と両者得点を取り合う。5:28、丸紅は、スピードに乗った攻めのなかから好パスを受けた堀江がダイナミックなレイアップ。FTとなり2/2で15-23と8点リード。だが、このあたりから三井住友の「核弾頭」鈴木が効き始める。5:19、鈴木→山下×→ORから益田、4:50、外の鈴木→内の益田×→ORから水谷、3:56、益田→倒れこみながら→鈴木×→ORから益田と連続して得点にからんでいく。その間、丸紅は大城のカットインで1ゴール返すも、3:56には21-25。しかし、3分台に入ると、丸紅も、関口、速攻から椎木→サイドチェンジ→横山で21−29。三井住友もそれに負けじと終盤、山下がDEFの一瞬の隙をつく正面3ptを決めると、水谷×→ORから鈴木で26-29と3点差まで追い上げ、前半終了。

■鈴木と*椎木がマッチアップする場面がかなり見られたのだが、カンジツを代表する両選手のぶつかり合いは非常に見ごたえがあった。*椎木はさらに、一回のドリブルで藤塚を二回吹っ飛ばすなど、力強さをみせつけた。また、*渡邊の素早いモーションからの3ptも鮮やか(落ちたが・・・)。

■3Qはまず、*椎木からパスを受けた*横山の遠め3ptでスコアボードが動くと(28-32)、岡野→鈴木のバックシュートで三井住友も応戦(28-32)。7:31には、*椎木がDEFを抜くノールックのバウンドパスを関口に通し、28-34。ナイス!と、今度は、三井住友が七尾→岡野の左30度3ptで食らいつく(31-34)。だが、6分台になると、丸紅の守りが上手く効き相手に得点させない一方、着実にゴールを重ねていく。まず、*横山の左30度フリーの3pt、速攻から冷静な*椎木のパスを受けた*岩波。益田を背負った関口のターンシュート。このあと、三井住友にパスミスが出てしまい、ベンチは思わずタイムアウト。だが、再開後も3:22、*椎木が24秒の迫る中、ハーフウェーラインあたりからつっぱしり、シュート、落ちたところをORから*岩波で、31-43。この日最大の12点差とする。三井住友は2:57、山下が右60度3ptを決めるが(34-43)、次の攻撃では24秒オーバーとなり波に乗れない。対する丸紅は1:54、*岩波のFTで34-44とすると、またしてもパスカットから、*大城→走りこんだ関口で、34-46。三井住友も最後1ゴール返し、36-46で最終コォーターヘ。

■三井住友は藤塚のほか、山下もPGを務めていたが、それにマッチアップしたのが丸紅の*大城。「すっぽんマーク」で仕事をなかなかさせていなかったのが印象に残る。

■4Qに入ると三井住友が一気に追い上げ、藤塚→益田?、*椎木をかわした鈴木、鈴木→綺麗な崩し→水谷、藤塚→ゴール下へ走りこんだ鈴木と4連続得点。7:05には44-46に。丸紅監督、たまらず「ディフェンス、もっと激しく!」と大声が飛ぶ。この直後、*横山が藤塚にバックチャージ(に見えた)でファール。藤塚は今日、かなりやられていたな。ここから2分間程度、こう着状態。三井住友のドフリー3pt失敗、渡辺(芳)と堀江のゾクっとするリバウンド合戦、藤塚のロングフィード不発などが続いた4:49。ボールを持った丸紅*関口が受け手を探している瞬間に鈴木がスチール。その鈴木に対して丸紅思わずファールで、痛い5F。鈴木はFTを2本とも決め、46-46と同点に。しかも、この時点で三井住友はファール1つ。疲れが目立つようになった丸紅。絶体絶命だ。だが、「まだまだこれからこれから」との声が飛ぶ。丸紅の監督だ。さぁ、最後の胸突き八丁だ。

■4分台から3分台にかけて両者攻めあうが、1本づつ外す。と、2:58、渡辺(芳)のシュートを*岩波がブロック。そしてここで満を持して*渡邊(舞)を投入。元気がよいと思ったのもつかの間、2:16、*椎木からサイドチェンジのボールを受けた*渡邊、左45度から、岩波のスクリーンを使い、遠めの3ptを沈める!お見事。1:51には外の回しからまたしても*渡邊のカットインでFTをもらう。だが、2本ともはずしてしまう。とはいえ、渡邊投入がバッチリはまった感じだ。と、1:44には三井住友にパスミスが出てしまう。1:25、生き返った丸紅は、*椎木→ポストの*関口→*椎木→左から合わせた*岩波と流麗なパスワークが決まるが、シュートが落ちると、リバウンドの競り合いでファールを犯してしまい、三井住友のFT。益田が2本決め、48-49と1点差。1分を切り、固唾を飲みながら見守る大観衆の前、ここで頑張ったのが丸紅*関口。ゴール下でDEF二人をかわしてゴールで48-51。だが、三井住友にもまだチャンスはある。0:34、ルーズボールの競り合いから岡野、0:24には鈴木と怒涛の連続3ptを放つが無情にも落ちると、0:22、三井住友も5Fとなり*椎木が2本決め、48-52。最後、岡野→フリーの渡辺(芳)の3ptも外れ、丸紅が三井住友の猛追をなんとかかわし、逃げ切り。

■熱戦だった。終了後もしばらく心臓がバクバクしていた。鷺宮が休部してしまった今年、残ったチームで見ごたえのある試合をみせていけるだろうか、と少し心配したのだが、杞憂に終わった。この試合、本当にドラマティックそのものだったのである。大きく力を伸ばした三井住友、そして土壇場の勝負強さをみせた丸紅。両者の意地と意地とのぶつかり合いはまさにスペクタクル。さぁ、2次リーグはどうなるか。今年のこのカード、目が離せないぞ。

 

第二試合 特別区-*クラヤ

 

■1Q、最初の2分間ぐらいは、両者ほぼ互角の勝負。特別区は、赤津がターンしつつアンダーハンドでシュートからFT、鈴木のカットインからの得点などの良い攻撃がみられたほか、ゾーンディフェンスが機能する場面も。だが、7分台以降、クラヤの*白田、*山崎の砲身に火がつくと、5分台には連続3ptが決まる。クラヤはDEFも厳しく、特別区の山野井がボールを持って突っ込んでいっても、パスの出しどころを前もって全て消されている場面が目立つ。4:39には*楠田の得点で3-13。これに対し特別区も4:00、山野井→ポストの鈴木→右から走りこんだ藤本の素晴らしいパスワークで、5-13とする。が、しかし。このあとは完全にサンドバッグ状態。クラヤのパスカットや速攻が決まりまくる。*斉藤(知)→*楠田、*山崎→*大崎、*斉藤(知)の正面3ptなどで2分間にクラヤの5連続得点で、1:46には5-24。1:25、特別区野村のレーザービームパスがゴール下の赤津に通り見事な得点が決まる(7-24)が、その瞬間にクラヤベンチからは「スタート!」の大声が。そう、リスタートの際の動き出しが圧倒的にクラヤが早いのだ。この差は大きい。0:40には、*山崎が2本目の3pt、さらに*楠田のブザービーターで、7-28とクラヤ大量リードで2Qへ。

■2Qに入っても、特別区は4分近く得点が無かったが、6:15、野村のFTを皮切りに、内の山岸→外の石倉などで、1分足らずで3連続得点、10-35とする。だが、特別区はこのQに入っても、ボールを運ぶ山野井に上手く合わせる動きがなかなかでない。いっぽうのクラヤも、1Q終盤ほどの勢いはなく、*楠田、*白田などの得点で3:43に、10-39。と、ここから特別区オフェンスが突然爆発!3:27、鈴木がポストプレーからスクリーンとなり藤本&バスカン○、2:22、サイズのない赤津がDRをよく取り頑張るとともにカットインからFT、と連続得点。1:50、赤津が*斉藤(由)をかわしながらゴール下をすり抜け→山野井の左45度3pt命中!極上の攻めが決まり17-39に。これに対してクラヤは、イージーなシュートが落ちたり、ロングフィードが長すぎたりでリズムに乗れない。と、ベンチからは「ディーフェンス」が!だが、今日の特別区はそれにもめげず、鈴木FT、赤津FTで20-39に。なんと4分足らずの間に5連続得点で前半を終わる。

■3Qはいきなり、クラヤの「ディーフェンス」コールが始まる。予想外の「ベンチ攻撃」に不意を突かれたか、特別区は24秒苦し紛れ3ptを落とす。ここからは両者の点の取り合いに。まず、山野井が7:53、一人でぶっちぎりの走りからレイアップで22-39。ようやく思い切りの良いプレーが見られたと思ったのもつかの間、今度はクラヤ*白田の右30度3ptが決まり、22-42。藤本がワンハンドシュートを決めると、*山崎のストップジャンプ、DEFにつかれながら強引にカットインした赤津のFTと、テンポよく点を取り合い、5:40には26-44。だが、ここで、クラヤ名物、というかカンジツ名物の豪快なゴールが2連続で炸裂。ゴール脇→正面へ走りこんだ*楠田のレイアップだ。3:49には26-48とすると、クラヤはさらに*山崎、*斉藤(知)の3ptなどで畳み掛ける。特別区は鈴木、赤津の得点でなんとか追いすがろうとするが、クラヤの一気呵成の攻めにはなすすべがない。クラヤは0:30、ゴール前右の*斉藤(由)→同左の*斉藤(知)→正面へ走りこんだ*楠田のレイアップという流麗なゴールショーを披露すると、さらに最後残り3秒、*斉藤(知)がエンドラインから遠投、ゴール前でキャッチした*白田の得点で、32-62と大量リードで4Qへ。

■4Q前半、魅せたのはクラヤ*白田。2分たらずの間に3ptを3本決める!そのうちの一本は、特別区渡辺の3ptに対する3pt返しだった。この応酬は見ごたえがあった。特別区は、野村のループパスを受けた赤津、自陣から走った鈴木が得点するが、5:14で37-77と引き離される。だが、特別区もあきらめない!残り2分台までは、両者が交互に得点していく展開に。特別区は吉永?、鈴木→スピードに乗った赤津→野村、ORから関、野村→鈴木、いっぽうのクラヤは*楠田、*村山、一人で勝負の*斉藤(由)、*山崎の左60度3pt。両者一歩も譲らず、2:23に45-85。最後の2分間、特別区はさらに頑張り、ORから山岸、赤津のターンしつつワンハンドシュート、鈴木、最後まで元気な赤津のFTで追い上げ、52-87でタイムアップ。

クラヤが、楠田の正面走りこみレイアップ、白田&山崎の3ptという自慢の得点源を思う存分使いまくるとともに、DEFでも、常に先手先手を奪い、完勝を収めた試合だった。さぁ、次はいよいよ丸紅との全勝対決。昨季の秋の選手権の1点差負けのリベンジなるか!いっぽうの特別区。強敵相手に苦戦したが、それでも、去年は見られなかったような連携プレーがかなり成功していた。そんななんか特に前半、攻撃場面で山野井が再三止められていたのが気になった。シロート考えで申し訳ないのだが、なにか毛色の変わったことをやってみたらどうだろう。そうすれば、相手も警戒してくるだろうし、持ち味の縦へ切る動きもさらに有効に使えるように思うのだが。例えば、オーバヘッド・ダブルハンド・バックパスとかオーバヘッド・ダブルハンド・バックパスとかオーバヘッド・ダブルハンド・バックパスとか。別にオネダリしているつもりはないが、催促している自覚はあったりする・・・。

 

第三試合 伊藤忠-*山武藤沢

■1Q、7分台に入り伊藤忠毛塚のロングフィード→渡辺(由)でようやく試合が動き出すと、山武も*来留嶋のカットイン&バスカン○で応酬し点の取り合いに。伊藤忠は、佐藤→毛塚左45度3pt、佐藤のミドル。山武は、*田中×→自分でORから田中、*田原のミドルで3:19には7-7。だが、ここから伊藤忠が一方的に攻めまくる。佐藤×2、自陣から中央をぶっちぎりで走った毛塚、登の3pt×→ORから綿貫、毛塚の右30度3ptであっという間に点差を広げ、18-7で2Qへ。伊藤忠の厳しいDEFに山武は24秒オーバーを取られたり、ボールマンがどうしようもなく後ろ向きにシュートを打ったりと、苦しい。

■2Qは伊藤忠綿貫の右60度3ptで幕を開ける。山武も、24秒ぎりぎりながら、*長谷川のミドル&本家でついていく。と、7:07、伊藤忠毛塚が3ptラインぐらいから、DEF3人をぶち抜き、レイアップ。バスカンも決める。会場は大盛り上がり!「かっこいいー」との声が。さすが親分!と、今度は渡辺(由)が2連続得点(ミドル&FT)で6:13には27-11。伊藤忠はゾーンDEFに加え、ベンチから「ディーフェンス」コールがかかる。それに対し山武は、4:30、*田原?、1:53、サイドチェンジから*田原と3pt2本で対抗するが、ゴール前で2対1の局面となるもイージーなシュートを外すなどのミスが出てしまう。と、終了間際、伊藤忠の登が3ptラインの2mぐらい後方から正面3ptをブザービーター。34-17で後半へ。

■3Q前半、伊藤忠の渡辺(由)の3ゴールなどに、山武は*藤本のミドル、*田原の3pt、*ORから伊藤で対抗。5:47には42-24。と、5:15、毛塚が自陣からぶっちぎり電車道レイアップで活を入れると、さらに3:07には速攻の中から、毛塚が誰もいない空間に斜めのロングフィード、そこに走りこんで追いついたのが「鉄砲玉」綿貫で、45-27。このコンビは一瞬たりとも目が離せない。それに対して山武は、インサイドで勝負した*伊藤が得点するが、伊藤忠も田中の2連続得点で付け入る隙を与えない。残り1分あまりになり、山武に連続していいプレーが出る。*来留嶋がゴール下をすり抜け*伊藤FT、*長谷川が空中で体勢を崩しながらもジャンプシュートを沈め、意地を見せた。だが、伊藤忠も最後、FTラインの篠原から素早いパスを受けた毛塚が電光石火のバックシュートを決め、51-30で4Qへ。

■4Q序盤、伊藤忠の登が自陣からの突っ走りゴール&ジムカーナドリブル→ゴールを決めると、山武は伊藤が2ゴールで頑張り、7:07には55-34。6分台に入ると、伊藤忠の速攻が3本決まり(清水×2、福田)、4:33には60-34。福田の得点は登からのロングフィードを受けてのものだった。毛塚の芸の継承者だな、これは。いっぽうの山武は4:12、*来留嶋の3ptが落ちたところ、ORに飛び込んだ*田中の豪快なゴールで、60-36。この後、*田中がもう一本決めるが、足を使い切った山武は、伊藤忠の攻撃にDEFが戻りきれず、登や渡辺(由)のゴールをあっさり食らってしまう。そんななか根性を見せたのが*長谷川、攻撃場面で自陣から猛然とドリブルで駆け上がったシーンは熱いものを感じさせた。残り1分余りから両者FT合戦になった後、最後は山武*伊藤がエンドラインからもらったボールをジャンプシュートで決め、73-42で試合終了。

■最終試合ということもあり、観客はまばら。大差がついたコールドゲーム。だが、惨敗した山武にも何か見る者に訴えかけるものがあったのは事実。特に4Q終盤の長谷川のあがりなどは。やられ放題の自チームの中にあって、あのとき絶対、「チクショー、コノヤロー」などとの言葉が長谷川の頭の中で鳴り響いていたに違いない。でなければ、こんなにも筆者に強い印象をあたえなかったはずだ。

■最後の試合を見届け、外に出ると、バレーの試合も終わっており、選手のバスが出るところ。殺到するファンの歓声が夜の代々木公園に鳴り響いている。だが、このような世界、すなわち「ほら、面白いだろ、観ろ、観ろ。」と喧伝されるような世界とはまったく違うところにも、熱いドラマは存在しているとの思いを強くしつつ原宿駅へと向かった。

 

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